デジタル活用による働き方改革支援

仕事のやり方は昔のままで、残業抑制だけを強いていないか?

リモートワークや残業抑制などの「働き方改革」は推進しているが、実際の仕事の仕方は昔のままという声をよく聞きます。
仕事を効率化しろと命令しても、人はいままでの慣れたやり方を変えることに抵抗を示すため、掛け声倒れで終わりがちです。
デジタル化を前提に、業務・組織・風土を変革し、生産性そのものを向上させることが「働き方改革」の本質です。
そのためには、現状の課題を見える化することによって従業員自身にその問題に気付いてもらい、生産性向上に向けた前向きな改善に巻き込んでいくことが重要です。

なぜ生産性が上がらないのか?

システム整備・デジタル化の遅れ

最もよく見られるのは、販売・会計などの基幹系システムの整備が十分ではないため、転記や二重入力が多くなっていたりEXCELでの定型帳票作りとそのメール配信がルーティーンワークとなっていたりするケースです。
また、アナログ時代の意識や風土に起因するワークスタイル、例えば、紙・ハンコ文化から脱却できずペーパレス化が進まない、社内外からの電話が多く受話応答に追われて作業が進まないといったケースもいまだ多く見られます。

不適切な業務分掌と権限設計

ひとつの仕事を完結させる上で、関与する部門や人が増えれば増えるほど、部門間での調整や情報交換に時間を要するようになってきます。
具体的には、単純に業務分掌が細切れであるため前工程・後工程との連絡調整が多いケース、データアクセス権限がなく毎回担当部門にデータ送付依頼が必要となるケース、社外からのモバイルアクセス端末がないため事務所勤務者への電話確認・作業依頼が前提となっているなケースなどがあります。
また、承認権限の多くを上位者に集中させている場合には、上位者の承認のためのターンアラウンドタイムが長くなるとともに、出張で上位者が不在になると業務が止まるといったことも起こります。
金額や内容など承認対象のリスクに応じて、各職位に適切に権限を委譲していくことが重要です。

サービス過剰

顧客満足度を適切に把握していないため、顧客にとって重要なサービスよりも、顧客にとって重要でないサービスに力を注いでいることもあります。
例えば、顧客は電話問合せ窓口の充実、例えば窓口の営業時間の長さや繋がりやすさよりも、簡易かつ迅速に調べられるWeb上のFAQやマニュアル類の充実や検索機能の向上を求めているかもしれません。
これはサービス提供先が社内他部門の場合も同様のことが言えます。

慣性の法則

以前は重要であったけれども、環境変化によって重要性が無くなってきた仕事も「念のため」に続けられることが多いようです。
特に他部門や上長などに定期的に提出している帳票類の中には、以前は重要だったけけれど、今は特に無くても構わないというものもよく見受けられます。
ある時定型化することとなった仕事は、その担当者が変わってしまうと、なぜそれが必要なのかという背景が分からず、やめられなくなるケースが多いようです。
仕事は増えることはあっても減らない「慣性の法則」が働きがちです。

標準化・ルール化と例外管理

案件ごとに個別に決裁を行う場合には、判断材料となる各種の資料作成や調整のための会議、決裁権者への説明などの多様な業務が発生してきます。
ルール化できるものは極力ルール化して、担当者の裁量で半自動的に判断できるようにすると同時に、ルールから外れた例外案件のみを個別決裁に変更することで業務量の削減につながります。

部分最適の総和 ≠ 全体最適

各部署はそれぞれ自分達が最も効率の良いやり方をやっているつもりでも、後工程や前工程での負担が大きくなっていたり、似たようなことをやっていたりと、全体で見ると必ずしも効率的になっていないケースがよく見受けられます。
部分最適の総和は全体最適ではないため、業務改善においては、部署によっては業務量が増加しても、全体で業務量が減少するように設計することが必要です。

コンサルティングアプローチ

当該コンサルティングの一般的なステップは以下の通りです。

1.現状業務の見える化

対象とする領域を明確にしたうえで、現場担当者にインタビューを行い業務一覧、業務フローを作成します。
どの業務にどれだけの時間を要しているか、現場担当者への調査負荷を掛けないよう工夫をしながら、業務量調査を実施します。

2.課題の整理と真因の特定

業務インタビューと業務量調査から上がってきた課題をグルーピング、構造化などを通じ整理します。
各課題の因果関係を整理するとともに、組織や業務分掌、権限、KPI(業績評価基準)などその背景となる真因が無いか分析します。
これら作業をクライアントのプロジェクトメンバーとのワークショップで行うことで課題認識を共有していきます。

3.あるべき姿の検討

改善案のいくつかのオプションを作り、メンバーとのワークショップでのディスカッションを通じ、方向性を固めていきます。
最終的には、IT化を想定した中での新業務フロー案を作成するとともに、組織構造の見直しや権限の再設計、KPIの再考など背景となる社内ルールの見直し案も検討していきます。

4.システム化要件の整理

並行して、業務効率化に適用可能なITツールの一覧を作り、各ツールのベンダーへデモを含めた情報提供を依頼します。
機能面や費用面など各ツールを比較するための項目を検討した上で、各ツールの評価を行います。
最終的には各ツールへの要件をRFPに取りまとめ、いくつかのベンダーに正式に見積を依頼します。

5.システム導入の支援

ベンダー数社からの提案を受けた後、最終評価を行ってツール決定し、クライアント・ベンダー間で直接契約いただきます。
実際の導入作業はベンダー様に実施いただきますが、弊社では構想通りに進んでいるかという点でのモニタリングや、必要に応じ、ユーザーテストや従業員教育の支援などを実施します。