ビヨンドコロナの経営計画の再考

目の前の対応だけに追われていないか?

新型コロナウィルスは我々の生活スタイルを大きく変化させ、経営にも大きな影響を与えました。
今回のコロナ禍をきっかけに普及しだした在宅勤務や遠隔の顧客とのリモート面談などは、コロナ終息後もそのまま定着してきています
これらの変化は特に、交通、宿泊、飲食、不動産、小売などのB2C市場への影響が大きいですが、そのサプライヤーとなる業界にも一定の影響はあると考えられます。
このようなライフスタイルの大きな変化に対応した、ビヨンドコロナの経営環境に合わせた経営計画の見直しは極めて重要です。

今、我々は何ができるのか?

コロナ対応が平常化した今、消費者行動は確実に変わってきています
様々な市場調査会社がでアンケートなどを通じて、コロナによる消費者心理の変化を分析していますし、実際の行動がどう変わってきたかは観察することができます。
これらを参考にして、最悪、通常、最善のマーケット変化のシナリオを考えるのです。

例えば、通勤の頻度はどのようになるか、遠距離の出張は復活するのか、外食は戻るのか、住まいやオフィスの場所はどうなるのか。
リモートワークがこのまま定着すると、通勤や出張などのビジネス上の移動は減少する可能性が大ですが、逆に本格ディナーの宅配や地方移住、ECなどは増加することも考えられます。
将来の話に正解はないので、情報を収集・分析し、しっかりとロジカルに考え抜くことが必要となります。

この将来のマーケットシナリオをインプットに既存事業の財務シミュレーションを実施しますが、供給過多となる場合には事業の縮小も覚悟しておく必要があります。
また、事業の縮小だけでは既存従業員の雇用が確保できないため、新たに成長していく領域をどう取り込むか、新規市場への進出や新規サービスの開発なども重要となってきます。

これらを総合的に検討すると、グループのドメインや事業ポートフォリオの見直しににもつながります。
グループのビジョンとして明確化し、全社員とベクトルを共有することで、これから会社が進んでいく方向性を共有することが重要となります。
予め戦略・計画を用意しておくことによって、対応が後手になることが避けることができ、また前提とした将来環境シナリオと現実の推移とを継続的に比較分析することによって、その先の計画を適切に見直すことが可能となります。

コンサルティングアプローチ

1.市場環境の分析

各市場調査会社が作成しているリサーチデータなどを収集・分析し、自社がターゲットとする消費者の行動がコロナ後にどのように変化していくか、競合企業の取組みや業界構造の変化を分析し、機会と脅威を整理します。
必要に応じて、自社の顧客像をより明確にするために自社顧客へのインタビューやアンケートなども行います。

2.将来シナリオの検討

将来環境に関する幾つかの重要な変数を特定し、悲観・通常・楽観のシナリオを検討します。
その上で自社の売上へのインパクトを明確にし、PLシミュレーションを作成します。

3.既存事業の方向性の検討

各シナリオにおいて、既存事業の収益性の回復が厳しい状況となるようであれば、市場規模に合わせる形で事業規模の縮小などを検討し、一定の収益性がでるところまでの固定費の削減を検討します。
その中で、人・モノ・金といった経営資源がどのくらい余剰となるのかも特定し、新市場への進出可能性などを検討します。

4.事業ポートフォリオの再考

既存事業で中長期的な成長が難しく、従業員の雇用などの問題が発生する場合には、将来の事業ポートフォリオを検討します。
必要な売上・利益目標を設定した上で、既存事業だけでは埋まらないギャップがどのくらいあるのかを明確にし、新規事業に必要とされる事業規模などを検討します。
自社のリソースを有効活用して進出可能な成長領域を大まかに特定していきます。

5.新規事業の検討

必要に応じて新規事業のアイデア創出ワークショップ、M&A戦略の検討などを行いながら、新規事業領域をより明確化していきます。
いくつかの候補に絞り込み、詳細な市場調査を行った上で、事業計画にまとめていきます。

6.ビジョン・計画のとりまとめ

上記の検討を取りまとめ、企業グループの新たな事業ドメインの定義や将来ビジョンの明確化を行います。
必要に応じて、数値計画の見直しと今後のアクションプランの作成を行い、従業員へもこれらの検討結果を共有することによって、意識と行動の改革を促していきます。